塩二郎と田野屋銀象、結局どっちがいいのか本気で比べてみた

高知の完全天日塩、気になったことはないだろうか。

きっかけは、行きつけの割烹の大将にもらった一粒だった。何の変哲もない塩むすびに使われていたのだが、口に入れた瞬間「あれ、これ何か違う」と箸が止まった。塩辛いというより、じんわり甘い。大将に聞くと「田野屋銀象ですよ」と教えてくれた。それから半年ほど、塩二郎と田野屋銀象を交互に買っては、家族に「今日はどっちの塩か当ててみて」と食べ比べさせている。ちょっと迷惑な趣味だと思う。

田野屋銀象は、季節で味が違う

田野屋銀象は高知県土佐市で作られている。地下海水を汲み上げ、太陽と風だけで結晶にする。燃料は一切使わない。夏場は2ヶ月ほどで結晶になるが、冬は半年近くかかるらしい。

面白いのは、同じ生産者の塩なのに、買う時期によって微妙に印象が違うこと。ある年の冬に買ったものは角がなく、後味に少し乳製品のような丸みがあった。逆に夏のロットは輪郭がはっきりしていて、刺身につけるとキレがいい。ワイン好きの友人に話したら「それヴィンテージじゃん」と笑われたが、あながち間違っていないと思う。

塩二郎は、ちょっと変わった職人が作っている

塩二郎(田野屋塩二郎氏)は、もともと東京出身でサーフショップを経営していた人らしい。高知に移住して、塩職人の吉田猛氏に弟子入りしたという経歴を知ったとき、正直「変わった人だな」と思った。今は毎朝4時起きで、風向きや湿度を見ながら塩の面倒を見る生活を何年も続けているそうだ。

本人いわく「塩は生き物」。海水を汲んで放っておくのではなく、その日の天候に合わせて手を加え続けることで理想の状態に育てていくのだという。この人の塩は注文してもすぐには届かない。うちに届いたのも、申し込みから4ヶ月以上あとだった。

実際に食べ比べてみた結果

同じ卵、同じ塩むすびで何度も試した。うちなりの結論はこうだ。

素材の味をそのまま引き立てたいなら田野屋銀象。ゆで卵や白身魚など、控えめな食材との相性がいい。逆に、肉料理やしっかりした魚料理に合わせるなら塩二郎。粒の大きさや溶け方まで用途別に作られている感じがして、料理に負けない存在感がある。

一番驚いたのはゆで卵だった。普段は醤油やマヨネーズで誤魔化していたのに、塩だけで十分だと初めて思えた。うちの子どもも「これはおいしい塩」「これは普通」と言い当てるようになったので、味覚は正直だなと感じている。

高い塩に何万円も払う意味があるのか

正直、最初は懐疑的だった。塩なんてどれも同じだろうと。

でも今は、月に一度くらいは奮発してもいいと思っている。理由は単純で、いつもの食材が変わるからだ。高い肉や魚を買わなくても、塩ひとつで食卓の満足度が上がる。コスパで考えると、実は悪くない贅沢だと思う。

もし試すなら、まずは塩むすびから始めてほしい。余計なものを足さない分、塩の違いが一番わかりやすい。うちはそれで、すっかりこの沼にはまってしまった。

コメント