水で剥がせる接着剤LOOPGLUEとは?メリット・デメリット

雑学

展示会やイベント会場で見かける華やかなブース。その裏側では、実は大量の木工パネルが廃棄されていることをご存じでしょうか。

理由は意外にシンプルです。

従来の展示会ブースの施工は、展示用の木工パネルに接着剤で壁紙を貼るのが一般的です。ただ木工パネルに貼った壁紙や装飾紙を剥がす際、紙や接着剤が表面に残ってしまい、再利用が難しくなるからです。

そんな課題を解決する技術として注目を集めているのが、「LOOPGLUE(ループグルー)」です。

水に浸すだけで接着面を剥がせるという画期的な接着剤ですが、今回はLOOPGLUEの特徴や原料、メリット・デメリットについて見ていきます。

セメダインのLOOPGLUE(ループグルー)とは

LOOPGLUEは、セメダイン(株)、(株)博展、We+(コンテンポラリーデザインスタジオ)が共同開発した接着剤です。

最大の特徴は、「使用中はしっかり接着し、不要になったら水で簡単に剥がせる」という点です。

従来の接着剤は接着力の強さを重視してきました。しかしLOOPGLUEは「剥がしやすさ」まで設計された接着技術として開発されました。とても画期的だと思いませんか?

LOOPGLUEの原料はアルギン酸ナトリウム

海藻由来の天然素材を活用

LOOPGLUEの主成分はアルギン酸ナトリウムです。

アルギン酸ナトリウムはコンブやワカメなどの海藻に含まれる天然由来成分で、食品業界では増粘剤としても利用されています。

海藻特有の「ぬめり」に着目したことで、水に反応して剥離する特性を持つ接着剤が実現しました。

環境負荷を抑えながら高い機能性を持たせている点も評価されています。

LOOPGLUEのメリット

木工パネルを再利用できる

最大のメリットは木工パネルのリユースです。

従来は展示用木工パネルの壁紙を剥がした際に紙や糊が残り、補修が必要でした。

しかしLOOPGLUEを使用すると、水をかけるだけで比較的きれいに剥がせるため、パネルの再利用率向上が期待できます。

資材の節約だけでなく、廃棄物削減にも大いにつながります。

SDGsへの貢献

近年、多くの企業がSDGsへの取り組みを重視しています。

特に展示会業界では、イベント終了後に大量の資材が廃棄されることが課題となっています。

LOOPGLUEによって木工パネルの再利用が進めば、

・木材使用量の削減

・廃棄物削減

・CO₂排出量削減

などにつながる可能性があります。

作業効率の向上

従来は壁紙を剥がした後に表面を削ったり補修したりする作業が必要でした。

LOOPGLUEは水による剥離が可能なため、解体作業の負担軽減も期待できます。

展示会は短期間で設営と撤去を行うため、このメリットは非常に大きいと考えられます。

新しい接着技術として注目されている

日本テレビの「博士は今日も嫉妬する」でも紹介されるなど、革新的な接着技術として注目を集めています。5分番組なのですが、商品のメリットがギュっと凝縮されていてとてもいい番組で毎週みています。MCは宮川大輔さんですが、白衣姿もよく似合い、軽快なトークで難しい技術を身近に感じさせてくれます。

LOOPGLUEのデメリット

水に弱い環境では使用が難しい可能性

LOOPGLUEは水によって剥離する仕組みです。デメリットとしてあげてみます。

雨がかかる場所

高湿度環境

結露が発生する場所

などこのような場所では慎重な検証が必要になります。

現状では主に屋内展示用途に適した技術と言えるでしょう。

導入コストが高くなる可能性

新しい技術は一般的に初期コストが高くなる傾向があります。

接着剤そのものの価格だけでなく、

・施工方法の習得

・現場への周知

・新たな運用ルール

なども必要になる可能性があります。

ただし、パネルの再利用によるコスト削減効果も期待されるため、長期的な視点での判断が重要です。

適用できる素材が限定される可能性

展示会用の木工パネルには適していますが、すべての素材に同じ性能を発揮するとは限りません。

金属やガラス、重量物への接着など、用途によっては従来接着剤の方が適しているケースも考えられます。

長期実績がまだ少ない

LOOPGLUEは比較的新しい技術です。

そのため、

・長期間使用後の性能

・長期保管時の品質

・経年劣化の影響

などについては、今後の実績蓄積が待たれる部分のようです。

LOOPGLUEの可能性

この記事を書くために調べていて感じたのは、「強く接着すること」だけを追求する時代から、「どう再利用するか」を考える時代へ変わりつつあるということです。

これまでの接着剤は、剥がれないことが正義でした。

しかし、展示会のように使用期間が限られるものについては、「きれいに剥がせること」が大きな価値になります。

まさに発想の転換です。

技術的な課題はまだあるかもしれませんが、こうした考え方そのものが今後のモノづくりを変えていくのではないでしょうか。

まとめ

LOOPGLUEは、セメダインらが開発した水で剥がせる新しい接着剤です。

主成分には海藻由来のアルギン酸ナトリウムを採用し、木工パネルの再利用を促進することでSDGsにも貢献する可能性があります。

一方で、水分環境での使用制限や導入コスト、長期的な実績がまだ少ないといったこともあります。

それでも、「接着した後の再利用まで考える」という発想は非常に魅力的です。

今後は展示会業界だけでなく、さまざまな分野で活用が広がることでしょう。

世界には限りある資源があります。その資源を無駄にせず、技術やアイデアを結集して新たな価値を生み出すモノづくりは、これからの私たちの暮らしに欠かせないものとなっていくと思います。

こうした技術の進歩が環境問題の解決だけでなく、発想そのものをどんどん発展させていくのだと思いました。

科学っておもしろい。そしてモノづくりは誰かの役に立ちます。そこが最大の魅力だと思います。

そんな企業のみなさんを応援しています。

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